第31回黙示録セミナー H25.11.10
「ギリシャの角」
*ダニエル書8章、羊と山羊の記述が語ることを見ていく
1.ダニエル書の意味合い
始めにダニエル書の構成、意味合いに関して:
ダニエル書は、それぞれの章を通し、それぞれの意味合いを通して、
終末の日、特に艱難時代に起きることを預言し、暗示している。
たとえば以下のいくつかの例のとおりである。
2.像(反キリスト)を拝まないことに関する苦難:
ダニエル
3:1 ネブカデネザル王は金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトであった。彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。
3:2 そして、ネブカデネザル王は人を遣わして、太守、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官、および諸州のすべての高官を召集し、ネブカデネザル王が立てた像の奉献式に出席させることにした。
3:3 そこで太守、長官、総督、参議官、財務官、司法官、保安官、および諸州のすべての高官は、ネブカデネザル王が立てた像の奉献式に集まり、ネブカデネザルが立てた像の前に立った。
3:4 伝令官は大声で叫んだ。「諸民、諸国、諸国語の者たちよ。あなたがたにこう命じられている。
3:5 あなたがたが角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞くときは、ひれ伏して、ネブカデネザル王が立てた金の像を拝め。
3:6 ひれ伏して拝まない者はだれでも、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。」
3:7 それで、民がみな、角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、および、もろもろの楽器の音を聞いたとき、諸民、諸国、諸国語の者たちは、ひれ伏して、ネブカデネザル王が立てた金の像を拝んだ。
3:8 こういうことがあったその時、あるカルデヤ人たちが進み出て、ユダヤ人たちを訴えた。
3:9 彼らはネブカデネザル王に告げて言った。「王よ。永遠に生きられますように。
3:10 王よ。あなたは、『角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞く者は、すべてひれ伏して金の像を拝め。
3:11 ひれ伏して拝まない者はだれでも、火の燃える炉の中へ投げ込め。』と命令されました。
3:12 ここに、あなたが任命してバビロン州の事務をつかさどらせたユダヤ人シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴがおります。王よ。この者たちはあなたを無視して、あなたの神々に仕えず、あなたが立てた金の像を拝みもいたしません。」
3:13 そこでネブカデネザルは怒りたけり、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを連れて来いと命じた。それでこの人たちは王の前に連れて来られた。
3:14 ネブカデネザルは彼らに言った。「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴ。あなたがたは私の神々に仕えず、また私が立てた金の像を拝みもしないというが、ほんとうか。
3:15 もしあなたがたが、角笛、二管の笛、立琴、三角琴、ハープ、風笛、および、もろもろの楽器の音を聞くときに、ひれ伏して、私が造った像を拝むなら、それでよし。しかし、もし拝まないなら、あなたがたはただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる。どの神が、私の手からあなたがたを救い出せよう。」
3:16 シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴはネブカデネザル王に言った。「私たちはこのことについて、あなたにお答えする必要はありません。
3:17 もし、そうなれば、私たちの仕える神は、火の燃える炉から私たちを救い出すことができます。王よ。神は私たちをあなたの手から救い出します。
3:18 しかし、もしそうでなくても、王よ、ご承知ください。私たちはあなたの神々に仕えず、あなたが立てた金の像を拝むこともしません。」
3:19 すると、ネブカデネザルは怒りに満ち、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴに対する顔つきが変わった。彼は炉を普通より七倍熱くせよと命じた。
3:20 また彼の軍隊の中の力強い者たちに、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを縛って、火の燃える炉に投げ込めと命じた。
3:21 そこで、この人たちは、上着や下着やかぶり物の衣服を着たまま縛られて、火の燃える炉の中に投げ込まれた。
3:22 王の命令がきびしく、炉がはなはだ熱かったので、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴを連れて来た者たちは、その火炎に焼き殺された。
3:23 シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの三人は、縛られたままで、火の燃える炉の中に落ち込んだ。
3:24 そのとき、ネブカデネザル王は驚き、急いで立ち上がり、その顧問たちに尋ねて言った。「私たちは三人の者を縛って火の中に投げ込んだのではなかったか。」彼らは王に答えて言った。「王さま。そのとおりでございます。」
3:25 すると王は言った。「だが、私には、火の中をなわを解かれて歩いている四人の者が見える。しかも彼らは何の害も受けていない。第四の者の姿は神々の子のようだ。」
3:26 それから、ネブカデネザルは火の燃える炉の口に近づいて言った。「シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴ。いと高き神のしもべたち。すぐ出て来なさい。」そこで、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴは火の中から出て来た。
3:27 太守、長官、総督、王の顧問たちが集まり、この人たちを見たが、火は彼らのからだにはききめがなく、その頭の毛も焦げず、上着も以前と変わらず、火のにおいもしなかった。
3:28 ネブカデネザルは言った。「ほむべきかな、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神。神は御使いを送って、王の命令にそむき、自分たちのからだを差し出しても、神に信頼し、自分たちの神のほかはどんな神にも仕えず、また拝まないこのしもべたちを救われた。
3:29 それゆえ、私は命令する。諸民、諸国、諸国語の者のうち、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴの神を侮る者はだれでも、その手足は切り離され、その家をごみの山とさせる。このように救い出すことのできる神は、ほかにないからだ。」
3:30 それから王は、シャデラク、メシャク、アベデ・ネゴをバビロン州で栄えさせた。
ここでは、ダニエルの3人の友がバビロンの像を拝まないため、苦難にあうことが書かれている。
終末の日の苦難、艱難時代の日における正しいクリスチャンの苦難も同じであり、彼らはその日、バビロン、アメリカ由来のキリスト教によって建てられた像、反キリストを拝さないため、苦難におちいる。
以下のことばがその日を預言することばである。
黙示録
13:14 また、あの獣の前で行なうことを許されたしるしをもって地上に住む人々を惑わし、剣の傷を受けながらもなお生き返ったあの獣の像を造るように、地上に住む人々に命じた。
13:15 それから、その獣の像に息を吹き込んで、獣の像がもの言うことさえもできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた。
3教会の王である反キリスト以外の神に祈ることへの迫害:
艱難時代においては、反キリストは、どの神にもまさる神として君臨する。
以下のことばのとおりである。
2テサロニケ
2:4 彼は、すべて神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。”
そして、それゆえ、彼、反キリスト以外の神に祈るものは迫害を受けることが
想像される。それは、以下のダニエル書の迫害の日である。
ダニエル
6:1ダリヨスは、全国に任地を持つ百二十人の太守を任命して国を治めさせるのがよいと思った。
6:2 彼はまた、彼らの上に三人の大臣を置いたが、ダニエルは、そのうちのひとりであった。太守たちはこの三人に報告を出すことにして、王が損害を受けないようにした。
6:3 ときに、ダニエルは、他の大臣や太守よりも、きわだってすぐれていた。彼のうちにすぐれた霊が宿っていたからである。そこで王は、彼を任命して全国を治めさせようと思った。
6:4 大臣や太守たちは、国政についてダニエルを訴える口実を見つけようと努めたが、何の口実も欠点も見つけることができなかった。彼は忠実で、彼には何の怠慢も欠点も見つけられなかったからである。
6:5 そこでこの人たちは言った。「私たちは、彼の神の律法について口実を見つけるのでなければ、このダニエルを訴えるどんな口実も見つけられない。」
6:6 それで、この大臣と太守たちは申し合わせて王のもとに来てこう言った。「ダリヨス王。永遠に生きられますように。
6:7 国中の大臣、長官、太守、顧問、総督はみな、王が一つの法令を制定し、禁令として実施してくださることに同意しました。すなわち今から三十日間、王よ、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれると。
6:8 王よ。今、その禁令を制定し、変更されることのないようにその文書に署名し、取り消しのできないメディヤとペルシヤの法律のようにしてください。」
6:9 そこで、ダリヨス王はその禁令の文書に署名した。
6:10 ダニエルは、その文書の署名がされたことを知って自分の家に帰った。――彼の屋上の部屋の窓はエルサレムに向かってあいていた。――彼は、いつものように、日に三度、ひざまずき、彼の神の前に祈り、感謝していた。
6:11 すると、この者たちは申し合わせてやって来て、ダニエルが神に祈願し、哀願しているのを見た。
6:12 そこで、彼らは王の前に進み出て、王の禁令について言った。「王よ。今から三十日間、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれるという禁令にあなたは署名されたではありませんか。」王は答えて言った。「取り消しのできないメディヤとペルシヤの法律のように、そのことは確かである。」
6:13 そこで、彼らは王に告げて言った。「ユダからの捕虜のひとりダニエルは、王よ、あなたとあなたの署名された禁令とを無視して、日に三度、祈願をささげています。」
6:14 このことを聞いて、王は非常に憂え、ダニエルを救おうと決心し、日暮れまで彼を助けようと努めた。
6:15 そのとき、あの者たちは申し合わせて王のもとに来て言った。「王よ。王が制定したどんな禁令も法令も、決して変更されることはない、ということが、メディヤやペルシヤの法律であることをご承知ください。」
6:16 そこで、王が命令を出すと、ダニエルは連れ出され、獅子の穴に投げ込まれた。王はダニエルに話しかけて言った。「あなたがいつも仕えている神が、あなたをお救いになるように。」
6:17 一つの石が運ばれて来て、その穴の口に置かれた。王は王自身の印と貴人たちの印でそれを封印し、ダニエルについての処置が変えられないようにした。
6:18 こうして王は宮殿に帰り、一晩中断食をして、食事を持って来させなかった。また、眠けも催さなかった。
6:19 王は夜明けに日が輝き出すとすぐ、獅子の穴へ急いで行った。
6:20 その穴に近づくと、王は悲痛な声でダニエルに呼びかけ、ダニエルに言った。「生ける神のしもべダニエル。あなたがいつも仕えている神は、あなたを獅子から救うことができたか。」
6:21 すると、ダニエルは王に答えた。「王さま。永遠に生きられますように。
6:22 私の神は御使いを送り、獅子の口をふさいでくださったので、獅子は私に何の害も加えませんでした。それは私に罪のないことが神の前に認められたからです。王よ。私はあなたにも、何も悪いことをしていません。」
6:23 そこで王は非常に喜び、ダニエルをその穴から出せと命じた。ダニエルは穴から出されたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである。
6:24 王が命じたので、ダニエルを訴えた者たちは、その妻子とともに捕えられ、獅子の穴に投げ込まれた。彼らが穴の底に落ちないうちに、獅子は彼らをわがものにして、その骨をことごとくかみ砕いてしまった。
6:25 そのとき、ダリヨス王は、全土に住むすべての諸民、諸国、諸国語の者たちに次のように書き送った。「あなたがたに平安が豊かにあるように。
6:26 私は命令する。私の支配する国においてはどこででも、ダニエルの神の前に震え、おののけ。この方こそ生ける神。永遠に堅く立つ方。その国は滅びることなく、その主権はいつまでも続く。
6:27 この方は人を救って解放し、天においても、地においてもしるしと奇蹟を行ない、獅子の力からダニエルを救い出された。」
6:28 このダニエルは、ダリヨスの治世とペルシヤ人クロスの治世に栄えた。
4. 人食い獣による苦難:ダニエル7章
ダニエル
7:1 バビロンの王ベルシャツァルの元年に、ダニエルは寝床で、一つの夢、頭に浮かんだ幻を見て、その夢を書きしるし、そのあらましを語った。
7:2 ダニエルは言った。「私が夜、幻を見ていると、突然、天の四方の風が大海をかき立て、
7:3 四頭の大きな獣が海から上がって来た。その四頭はそれぞれ異なっていた。
7:4 第一のものは獅子のようで、鷲の翼をつけていた。見ていると、その翼は抜き取られ、地から起こされ、人間のように二本の足で立たされて、人間の心が与えられた。
7:5 また突然、熊に似たほかの第二の獣が現われた。その獣は横ざまに寝ていて、その口のきばの間には三本の肋骨があった。するとそれに、『起き上がって、多くの肉を食らえ。』との声がかかった。
7:6 この後、見ていると、また突然、ひょうのようなほかの獣が現われた。その背には四つの鳥の翼があり、その獣には四つの頭があった。そしてそれに主権が与えられた。
7:7 その後また、私が夜の幻を見ていると、突然、第四の獣が現われた。それは恐ろしく、ものすごく、非常に強くて、大きな鉄のきばを持っており、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは前に現われたすべての獣と異なり、十本の角を持っていた。
7:8 私がその角を注意して見ていると、その間から、もう一本の小さな角が出て来たが、その角のために、初めの角のうち三本が引き抜かれた。よく見ると、この角には、人間の目のような目があり、大きなことを語る口があった。
7:9 私が見ていると、幾つかの御座が備えられ、年を経た方が座に着かれた。その衣は雪のように白く、頭の毛は混じりけのない羊の毛のようであった。御座は火の炎、その車輪は燃える火で、
7:10 火の流れがこの方の前から流れ出ていた。幾千のものがこの方に仕え、幾万のものがその前に立っていた。さばく方が座に着き、幾つかの文書が開かれた。
7:11 私は、あの角が語る大きなことばの声がするので、見ていると、そのとき、その獣は殺され、からだはそこなわれて、燃える火に投げ込まれるのを見た。
7:12 残りの獣は、主権を奪われたが、いのちはその時と季節まで延ばされた。
7:13 私がまた、夜の幻を見ていると、見よ、人の子のような方が天の雲に乗って来られ、年を経た方のもとに進み、その前に導かれた。
7:14 この方に、主権と光栄と国が与えられ、諸民、諸国、諸国語の者たちがことごとく、彼に仕えることになった。その主権は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、その国は滅びることがない。
7:15 私、ダニエルの心は、私のうちで悩み、頭に浮かんだ幻は、私を脅かした。
7:16 私は、かたわらに立つ者のひとりに近づき、このことのすべてについて、彼に願って確かめようとした。すると彼は、私に答え、そのことの解き明かしを知らせてくれた。
7:17 『これら四頭の大きな獣は、地から起こる四人の王である。
7:18 しかし、いと高き方の聖徒たちが、国を受け継ぎ、永遠に、その国を保って世々限りなく続く。』
7:19 それから私は、第四の獣について確かめたいと思った。それは、ほかのすべての獣と異なっていて、非常に恐ろしく、きばは鉄、爪は青銅であって、食らって、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。
7:20 その頭には十本の角があり、もう一本の角が出て来て、そのために三本の角が倒れた。その角には目があり、大きなことを語る口があった。その角はほかの角よりも大きく見えた。
7:21 私が見ていると、その角は、聖徒たちに戦いをいどんで、彼らに打ち勝った。
7:22 しかし、それは年を経た方が来られるまでのことであって、いと高き方の聖徒たちのために、さばきが行なわれ、聖徒たちが国を受け継ぐ時が来た。
7:23 彼はこう言った。『第四の獣は地に起こる第四の国。これは、ほかのすべての国と異なり、全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く。
7:24 十本の角は、この国から立つ十人の王。彼らのあとに、もうひとりの王が立つ。彼は先の者たちと異なり、三人の王を打ち倒す。
7:25 彼は、いと高き方に逆らうことばを吐き、いと高き方の聖徒たちを滅ぼし尽くそうとする。彼は時と法則を変えようとし、聖徒たちは、ひと時とふた時と半時の間、彼の手にゆだねられる。
7:26 しかし、さばきが行なわれ、彼の主権は奪われて、彼は永久に絶やされ、滅ぼされる。
7:27 国と、主権と、天下の国々の権威とは、いと高き方の聖徒である民に与えられる。その御国は永遠の国。すべての主権は彼らに仕え、服従する。』
7:28 ここでこの話は終わる。私、ダニエルは、ひどくおびえ、顔色が変わった。しかし、私はこのことを心に留めていた。」
ダニエル7章は、世界に起きる大帝国を4匹の人食い獣として描写する。
すなわち、獅子、熊、ひょう、終末の獣である。
これらの獣の共通事項は人食い獣である、ということである。その意味合いは何か?
創世記によれば、人は神の霊を受けたとき、いのちを得て歩みだした。すなわち、神の霊、聖霊を受けるクリスチャンの型である。
したがって、終末の獣が登場するその目的、意味合いは、人すなわち、命の息、聖霊を受けるクリスチャンを滅ぼすことである、そう理解できる。
5. ダニエル8章:ギリシャの角
ダニエル
8:1 ベルシャツァル王の治世の第三年、初めに私に幻が現われて後、私、ダニエルにまた、一つの幻が現われた。
8:2 私は一つの幻を見たが、見ていると、私がエラム州にあるシュシャンの城にいた。なお幻を見ていると、私はウライ川のほとりにいた。
8:3 私が目を上げて見ると、なんと一頭の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって、この二本の角は長かったが、一つはほかの角よりも長かった。その長いほうは、あとに出て来たのであった。
8:4 私はその雄羊が、西や、北や、南のほうへ突き進んでいるのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。
8:5 私が注意して見ていると、見よ、一頭の雄やぎが、地には触れずに、全土を飛び回って、西からやって来た。その雄やぎには、目と目の間に、著しく目だつ一本の角があった。
8:6 この雄やぎは、川岸に立っているのを私が見たあの二本の角を持つ雄羊に向かって来て、勢い激しく、これに走り寄った。
8:7 見ていると、これは雄羊に近づき、怒り狂って、この雄羊を打ち殺し、その二本の角をへし折ったが、雄羊には、これに立ち向かう力がなかった。雄やぎは雄羊を地に打ち倒し、踏みにじった。雄羊を雄やぎの手から救い出すものは、いなかった。
8:8 この雄やぎは、非常に高ぶったが、その強くなったときに、あの大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、著しく目だつ四本の角が生え出た。
8:9 そのうちの一本の角から、また一本の小さな角が芽を出して、南と、東と、麗しい国とに向かって、非常に大きくなっていった。
8:10 それは大きくなって、天の軍勢に達し、星の軍勢のうちの幾つかを地に落として、これを踏みにじり、
8:11 軍勢の長にまでのし上がった。それによって、常供のささげ物は取り上げられ、その聖所の基はくつがえされる。
8:12 軍勢は渡され、常供のささげ物に代えてそむきの罪がささげられた。その角は真理を地に投げ捨て、ほしいままにふるまって、それを成し遂げた。
8:13 私は、ひとりの聖なる者が語っているのを聞いた。すると、もうひとりの聖なる者が、その語っている者に言った。「常供のささげ物や、あの荒らす者のするそむきの罪、および、聖所と軍勢が踏みにじられるという幻は、いつまでのことだろう。」
8:14 すると彼は答えて言った。「二千三百の夕と朝が過ぎるまで。そのとき聖所はその権利を取り戻す。」
8:15 私、ダニエルは、この幻を見ていて、その意味を悟りたいと願っていた。ちょうどそのとき、人間のように見える者が私の前に立った。
8:16 私は、ウライ川の中ほどから、「ガブリエルよ。この人に、その幻を悟らせよ。」と呼びかけて言っている人の声を聞いた。
8:17 彼は私の立っている所に来た。彼が来たとき、私は恐れて、ひれ伏した。すると彼は私に言った。「悟れ。人の子よ。その幻は、終わりの時のことである。」
8:18 彼が私に語りかけたとき、私は意識を失って、地に倒れた。しかし、彼は私に手をかけて、その場に立ち上がらせ、
8:19 そして言った。「見よ。私は、終わりの憤りの時に起こることを、あなたに知らせる。それは、終わりの定めの時にかかわるからだ。
8:20 あなたが見た雄羊の持つあの二本の角は、メディヤとペルシヤの王である。
8:21 毛深い雄やぎはギリシヤの王であって、その目と目の間にある大きな角は、その第一の王である。
8:22 その角が折れて、代わりに四本の角が生えたが、それは、その国から四つの国が起こることである。しかし、第一の王のような勢力はない。
8:23 彼らの治世の終わりに、彼らのそむきが窮まるとき、横柄で狡猾なひとりの王が立つ。
8:24 彼の力は強くなるが、彼自身の力によるのではない。彼は、あきれ果てるような破壊を行ない、事をなして成功し、有力者たちと聖徒の民を滅ぼす。
8:25 彼は悪巧みによって欺きをその手で成功させ、心は高ぶり、不意に多くの人を滅ぼし、君の君に向かって立ち上がる。しかし、人手によらずに、彼は砕かれる。
8:26 先に告げられた夕と朝の幻、それは真実である。しかし、あなたはこの幻を秘めておけ。これはまだ、多くの日の後のことだから。」
8:27 私、ダニエルは、幾日かの間、病気になったままでいた。その後、起きて王の事務をとった。しかし、私はこの幻のことで、驚きすくんでいた。それを悟れなかったのである。
ダニエル8章の意味合いを順に見ていく。
ダニエル
8:1 ベルシャツァル王の治世の第三年、初めに私に幻が現われて後、私、ダニエルにまた、一つの幻が現われた。”
こう書くことにより、ダニエル7章の預言とこの章の預言には共通点があることがわかる。意味合いは何か?それは、同じ終末の日をそれぞれ、別の視点で見ているということと理解できる。
すなわち、ダニエル7章は終末の日を4つの獣、人食い獣、クリスチャンを滅ぼす獣帝国の横暴という面で語っている。
そして、ダニエル8章は同じことがらを「ギリシャの角」による、キリスト教への破壊という面から説明している。
8:3 私が目を上げて見ると、なんと一頭の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって、この二本の角は長かったが、一つはほかの角よりも長かった。その長いほうは、あとに出て来たのであった。“
この章では、未来のこと、また艱難時代のことがらを羊と雄山羊という2匹の動物により、説明している。この2匹が登場人物の全てであり、他にはいない。
したがって我々はこの羊とお山羊の意味合いをまず考えなければならない。羊と雄山羊の意味合いは何か?以下から理解できる。
マタイ
25:31 人の子が、その栄光を帯びて、すべての御使いたちを伴って来るとき、人の子はその栄光の位に着きます。
25:32 そして、すべての国々の民が、その御前に集められます。彼は、羊飼いが羊と山羊とを分けるように、彼らをより分け、
25:33 羊を自分の右に、山羊を左に置きます。
25:34 そうして、王は、その右にいる者たちに言います。『さあ、わたしの父に祝福された人たち。世の初めから、あなたがたのために備えられた御国を継ぎなさい。
25:35 あなたがたは、わたしが空腹であったとき、わたしに食べる物を与え、わたしが渇いていたとき、わたしに飲ませ、わたしが旅人であったとき、わたしに宿を貸し、
25:36 わたしが裸のとき、わたしに着る物を与え、わたしが病気をしたとき、わたしを見舞い、わたしが牢にいたとき、わたしをたずねてくれたからです。』
25:37 すると、その正しい人たちは、答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹なのを見て、食べる物を差し上げ、渇いておられるのを見て、飲ませてあげましたか。
25:38 いつ、あなたが旅をしておられるときに、泊まらせてあげ、裸なのを見て、着る物を差し上げましたか。
25:39 また、いつ、私たちは、あなたのご病気やあなたが牢におられるのを見て、おたずねしましたか。』
25:40 すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、あなたがたに告げます。あなたがたが、これらのわたしの兄弟たち、しかも最も小さい者たちのひとりにしたのは、わたしにしたのです。』
25:41 それから、王はまた、その左にいる者たちに言います。『のろわれた者ども。わたしから離れて、悪魔とその使いたちのために用意された永遠の火にはいれ。
25:42 おまえたちは、わたしが空腹であったとき、食べる物をくれず、渇いていたときにも飲ませず、
25:43 わたしが旅人であったときにも泊まらせず、裸であったときにも着る物をくれず、病気のときや牢にいたときにもたずねてくれなかった。』
25:44 そのとき、彼らも答えて言います。『主よ。いつ、私たちは、あなたが空腹であり、渇き、旅をし、裸であり、病気をし、牢におられるのを見て、お世話をしなかったのでしょうか。』
25:45 すると、王は彼らに答えて言います。『まことに、おまえたちに告げます。おまえたちが、この最も小さい者たちのひとりにしなかったのは、わたしにしなかったのです。』
25:46 こうして、この人たちは永遠の刑罰にはいり、正しい人たちは永遠のいのちにはいるのです。」
ここでは、羊とはすなわち、キリストにつく民であり、また山羊とは、キリストに裁かれる人々、すなわち、反キリスト的な人々として描かれている。
したがって、ダニエル8章の記述は、羊、すなわちキリストにつく人々と山羊、反キリスト的な人々との歴史、描写と理解できる。
「一頭の雄羊が川岸に立っていた。それには二本の角があって」
2本の羊の角をもつ獣は以下にも記載されている。
黙示録
13:11 また、私は見た。もう一匹の獣が地から上って来た。それには小羊のような二本の角があり、竜のようにものを言った。”
私たちはかつてこの獣は終末の日の背教の教会であると理解した。
したがって、ダニエル8章の羊も教会やキリスト教と関係ある存在と理解できる。
聖書は、黙示録に表にも裏にも文字の書いてある巻物と表現されているように、2重の意味合いを持つ書物である。
第一義的な表の意味合いと第2義的な裏の意味合いがある。
このダニエル8章の表の意味合いは書かれているように、メデイアペルシャや、ギリシャ国の興亡の歴史である。
しかし、そこにはさらに裏の意味あいがあり、その意味合いは羊、山羊と書かれているように、教会やキリスト教の興亡の歴史と理解できる。
ダニエル
8:4 私はその雄羊が、西や、北や、南のほうへ突き進んでいるのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。”
ここに書かれているのは、羊すなわち、キリスト教の発展、興隆の様である。
初代教会時代の福音は、「アジアでみことばを語ることを聖霊により禁じられ」結果、東には伝わらなかった。
それは、「雄羊が、西や、北や、南のほうへ突き進んでいる」とのことば、東以外の地域に福音が伝わったことに通じる。
「どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。」
キリスト教の快進撃は続き、福音は世界を席巻し、それは、権力にさえなった。
「それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。」
キリスト教、教会はその繁栄の結果、高ぶるようになった。
カノッサの屈辱の様に、この世の王にまさる権威さえ教会は帯びるようになった。
ダニエル
8:5 私が注意して見ていると、見よ、一頭の雄やぎが、地には触れずに、全土を飛び回って、西からやって来た。その雄やぎには、目と目の間に、著しく目だつ一本の角があった。“
さて、その羊、キリスト教会に敵対、破壊する存在として、雄やぎ、すなわち、ギリシャが登場する。
ギリシャの意味合いは何か?
ギリシャはヨーロッパ、西洋文明発祥の地であり、ギリシャ神話また、
プラトンや、ソクラテスの様に西洋合理主義、知性主義の発祥の地である。
ダニエル
8:6 この雄やぎは、川岸に立っているのを私が見たあの二本の角を持つ雄羊に向かって来て、勢い激しく、これに走り寄った。“
雄やぎは羊、すなわち、キリスト教会に走りより、そして、敵対するようになった。
同じく、キリスト教の破壊、堕落、崩壊は西洋合理主義、知性主義の下で行われていく。それは、勢い激しく、すなわち、急速に行われていく。
8:7 見ていると、これは雄羊に近づき、怒り狂って、この雄羊を打ち殺し、その二本の角をへし折ったが、雄羊には、これに立ち向かう力がなかった。雄やぎは雄羊を地に打ち倒し、踏みにじった。雄羊を雄やぎの手から救い出すものは、いなかった。“
羊はやぎにより、打ち殺され、角をへし折られた。同じように、キリスト教のもっとも根本的な命に関する部分は西洋合理主義や人間の知性主義の下で殺されていく。
このことは事実であり、今の教会の神学校では人間の知性が優先されており、キリストの復活や、キリストの奇跡も理屈に合わないもの、人の知性に反するものとして、否定されつつある。
「雄やぎは雄羊を地に打ち倒し」
地はこの世であり、羊、教会は雄やぎ、西洋合理主義の侵略の下で、この世につくものとされてしまう。
ダニエル
8:8 この雄やぎは、非常に高ぶったが、その強くなったときに、あの大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、著しく目だつ四本の角が生え出た。“
天の四方の意味合いは4つの風、すなわち、聖霊の働きと関係がある。
いわんとしていることは、このギリシャの雄やぎ、西洋合理主義の下で、教会の聖霊の働きも圧迫され、人間的なものへと徐々に変質してしまう、と理解できる。
ダニエル
8:9 そのうちの一本の角から、また一本の小さな角が芽を出して、南と、東と、麗しい国とに向かって、非常に大きくなっていった。“
「一本の小さな角」は70人訳では、一本の強い角である。これは、終末の日の破壊帝国、アメリカに関する預言。
そのアメリカは、南と、東と、「麗しい国」すなわち、正しいクリスチャンへの迫害をもくろむ。
ダニエル
8:10 それは大きくなって、天の軍勢に達し、星の軍勢のうちの幾つかを地に落として、これを踏みにじり、“
ギリシャ、西洋合理主義の国の末裔であるアメリカはキリスト教会で勢力を伸ばし、人間の知性による解釈やら、合理主義により、聖書理解をキリスト教会に持ち込み、結果、「星の軍勢のうちの幾つかを地に落と」す。
すなわち、いくつかの教会、教団を人間主義で、堕落させ、信仰を失わせる。
ダニエル
“8:11 軍勢の長にまでのし上がった。それによって、常供のささげ物は取り上げられ、その聖所の基はくつがえされる。”
ギリシャの末裔、ヨーロッパ、合理主義の国の末裔であるアメリカを通して、軍勢の長、すなわち、反キリストは登場する。
彼を通して、「常供のささげ物は取り上げられ」すなわち、正しい聖書メッセージは、奪われ、また、「聖所の基はくつがえされる」
すなわち、教会の根本的な教理はひっくり返され、キリストは神でないことになる。
これらは、みな、ギリシャ、西洋合理主義、知性主義の結果として表れる。
すなわち、理性的に考えれば、十字架で死んだ人間が復活するはずもない、また、2000年も前の人間が再臨するはずもない、という知性主義が教会で主流となるわけである。
ダニエル
8:12 軍勢は渡され、常供のささげ物に代えてそむきの罪がささげられた。その角は真理を地に投げ捨て、ほしいままにふるまって、それを成し遂げた。“
ギリシャ、合理主義の末裔であるアメリカの主張が全世界のキリスト教会で採用され、結果、人間の知性が聖書のみことばより、優先されるようになり、それにあわないみことばは、取り去られる。
すなわち、真理は地に投げ捨てられる。
ダニエル
8:13 私は、ひとりの聖なる者が語っているのを聞いた。すると、もうひとりの聖なる者が、その語っている者に言った。「常供のささげ物や、あの荒らす者のするそむきの罪、および、聖所と軍勢が踏みにじられるという幻は、いつまでのことだろう。」
8:14 すると彼は答えて言った。「二千三百の夕と朝が過ぎるまで。そのとき聖所はその権利を取り戻す。」“
2300の夕と朝とは、3年半、1260日の艱難時代とほぼ同じ期間。
すなわち、艱難時代が終わるまで、アメリカ主導の冒涜が続くことが理解できる。
ダニエル
8:23 彼らの治世の終わりに、彼らのそむきが窮まるとき、横柄で狡猾なひとりの王が立つ。
横柄で狡猾なひとりの王とは、アメリカのこと。アメリカの意味合い、また、そのキリスト教破壊の方法はギリシャ、西洋文明ゆかりの知性主義、合理主義を強調することによってであることがわかる。
8:24 彼の力は強くなるが、彼自身の力によるのではない。彼は、あきれ果てるような破壊を行ない、事をなして成功し、有力者たちと聖徒の民を滅ぼす。”
悪魔の意思を行う国、アメリカの行動の目的が、「聖徒の民を滅ぼす」すなわち、
正しいクリスチャンを滅ぼし、永遠の命を奪うことであることが描かれている。
8:25 彼は悪巧みによって欺きをその手で成功させ、心は高ぶり、不意に多くの人を滅ぼし、君の君に向かって立ち上がる。しかし、人手によらずに、彼は砕かれる。“
アメリカが君の君に向かって立ち上がる、すなわち、反キリスト的な行動をとることが描かれている。
したがって、この後アメリカの起こす全ての政策、実行には裏に反キリスト的な意図があることを理解すべきである。アメリカはいずれ全世界を支配する。
この国に敵対する国など世界のどこにも存在しなくなる。しかし、心配することはない。
「人手によらずに、彼は砕かれる。」すなわち、アメリカへの裁きは人でなく、神により行われ、キリストの再臨により直接行われる。
―以上―
レムナントキリスト教会
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